300 刑事政策

 

刑事政策とは、犯罪の防止を直接の目的とする国およひ公共団体のすべての施策を意味し、立法的施策・司法的施策・行政的施策のすべてを含む。学問としての刑事政策学は、現実に生起する犯罪現象を経験科学的に分析することによって犯罪の原因を究明し(犯罪原因論)、その成果を踏まえた上で、それぞれの刑事政策の必要性・実行可能性・有効性等を科学的に解明する(犯罪対策論)ことを目的とするものである。また、刑事政策には、あらゆる犯罪に共通の一般的なものから、個々の犯罪類型あるいは犯罪者類型を対象とする特別なものまであるので、刑事政策学では、一般的な犯罪原因論と犯罪対策論に加えて、個々の犯罪類型あるいは犯罪者類型における犯罪原因の究明とその対策まで取り扱われることになる。

 

この講義では、時間の関係上、一般的な犯罪原因論と犯罪対策論に重点を置き、犯罪原因論の歴史と現状、刑罰を中心とする司法処分の諸形態の現状とそのあり方、犯罪者および犯罪の嫌疑を受けている者に対する処遇の現状とそのあり方について明らかにすることを目的とする。

 

各論的問題については、適宜関連問題を検討する他、時間が許す限りで取り扱うにとどめる。


301 演習3A

 

演習とは、担当各教員が専門とする法分野についての理解を深めることを目的として、少人数を対象とした教育を行うものである。各教員によってその進め方は様々であるが、1つのテーマにつき予め決められた報告者が発表し、それについて参加者全員で質疑・討論するという形式で行われる場合が多い。演習3は、演習1(または総合演習)・演習2に続いて行われるが、演習1(または総合演習)と演習2で学んだ資料収集の方法・文献の調べかた・資料の整理の方法を用いて、さらに一層、発表・意見交換・討議能力を発展させることを目的とする。自発的により深く、より広く勉学する機会が提供される点は、演習1(または総合演習)・演習2の場合と変わらない。また教員と親しく接するという貴重な機会が与えられる場であることも変わりがない。この機会を大いに利用して、教員と共に新たな学問形成を行うというような気概を持って、演習に意欲的に参加してもらいたい。

 

各々の演習担当者ごとの具体的内容については、募集手続きの時に配布される演習パンフレットの各演習紹介を参照されたい。


302 演習3B

 

演習とは、担当各教員が専門とする法分野についての理解を深めることを目的として、少人数を対象とした教育を行うものである。各教員によってその進め方は様々であるが、1つのテーマにつき予め決められた報告者が発表し、それについて参加者全員で質疑・討論するという形式で行われる場合が多い。演習3は、演習1(または総合演習)・演習2に続いて行われるが、演習1(または総合演習)と演習2で学んだ資料収集の方法・文献の調べかた・資料の整理の方法を用いて、さらに一層、発表・意見交換・討議能力を発展させることを目的とする。自発的により深く、より広く勉学する機会が提供される点は、演習1(または総合演習)・演習2の場合と変わらない。また教員と親しく接するという貴重な機会が与えられる場であることも変わりがない。この機会を大いに利用して、教員と共に新たな学問形成を行うというような気概を持って、演習に意欲的に参加してもらいたい。

 

各々の演習担当者ごとの具体的内容については、募集手続きの時に配布される演習パンフレットの各演習紹介を参照されたい。


303 演習4A

 

演習とは、担当各教員が専門とする法分野についての理解を深めることを目的として、少人数を対象とした教育を行うものである。各教員によってその進め方は様々であるが、1つのテーマにつき予め決められた報告者が発表し、それについて参加者全員で質疑・討論するという形式で行われる場合が多い。

 

演習4は、演習3に続いて(あるいは連続開講の場合は、両者が連続して)行われるが、演習1(または総合演習)・演習2・演習3で学んだ資料収集の方法・文献の調べ方・資料の整理の方法を用いて、さらに一層、発表・意見交換・討議能力を発展させることを目的とする。自発的により深く、より広く勉学する機会が提供される点は、演習3の場合と変わらない。また、教員と親しく接するという貴重な機会が与えられる場という点も変わりがない。卒業後も続く人間関係を、教師並びに演習に参加した他の学生と築く意味でも、四段階の演習の最後に位置する演習4はとりわけ重要である。

 

各々の演習担当者ごとの具体的内容については、募集手続きの時に配布される演習パンフレットの各演習紹介を参照されたい。


304 演習4B

 

演習とは、担当各教員が専門とする法分野についての理解を深めることを目的として、少人数を対象とした教育を行うものである。各教員によってその進め方は様々であるが、1つのテーマにつき予め決められた報告者が発表し、それについて参加者全員で質疑・討論するという形式で行われる場合が多い。

 

演習4は、演習3に続いて(あるいは連続開講の場合は、両者が連続して)行われるが、演習1(または総合演習)・演習2・演習3で学んだ資料収集の方法・文献の調べ方・資料の整理の方法を用いて、さらに一層、発表・意見交換・討議能力を発展させることを目的とする。自発的により深く、より広く勉学する機会が提供される点は、演習3の場合と変わらない。また、教員と親しく接するという貴重な機会が与えられる場という点も変わりがない。卒業後も続く人間関係を、教師並びに演習に参加した他の学生と築く意味でも、四段階の演習の最後に位置する演習4はとりわけ重要である。

 

各々の演習担当者ごとの具体的内容については、募集手続きの時に配布される演習パンフレットの各演習紹介を参照されたい。


305 法学特講A

 

法律は社会の一面を反映する。社会の変化や多様化は、法律学の領域にもさまざまな問題を投げかけている。このような現代的状況は、従来の伝統的な法律学の枠組みや体系ではおさまりきらない(扱いきれない)問題や法領域を多く生み出しつつある。そして、それらの法領域のうちあるものは、既に新たな法律科目としてその地位を確立している。そのような例として、情報法やスポーツ法などを挙げることができるが、残念ながら、それらのすべてを常設科目として、カリキュラム上実現することは困難である。

 

また、高度に専門化・深化した近年の社会的ニーズとそれに対応した学問的成果を取り上げることは、通常の講義においては、時間的制約により困難な場合が少なくない。それゆえ、それらの講義のよりよい理解のために、通常の講義とは別の特別の講義で学習したほうが適当な場合もあ

る。

 

この法学特講Aは、法学特講Bとともに、以上のような事情に迅速かつ適切に対応するために用意された講義科目である。したがって、この講義では、今日的法領域の諸問題を取り扱うこともあれば、特定の講義領域の一部のみをさらに深化させて取り扱うこともある。どのようなテーマを扱うかについては「授業内容・計画(基本)」を参照していただきたい。


306 法学特講B

法律は社会の一面を反映する。社会の変化や多様化は、法律学の領域にもさまざまな問題を投げかけている。このような現代的状況は、従来の伝統的な法律学の枠組みや体系ではおさまりきらない(扱いきれない)問題や法領域を多く生み出しつつある。そして、それらの法領域のうちあるものは、既に新たな法律科目としてその地位を確立している。そのような例として、情報法やスポーツ法などを挙げることができるが、残念ながら、それらのすべてを常設科目として、カリキュラム上実現することは困難である。

 

また、高度に専門化・深化した近年の社会的ニーズとそれに対応した学問的成果を取り上げることは、通常の講義においては、時間的制約により困難な場合が少なくない。それゆえ、それらの講義のよりよい理解のために、通常の講義とは別の特別の講義で学習したほうが適当な場合もあ

る。

 

この法学特講Bは、法学特講Aとともに、以上のような事情に迅速かつ適切に対応するために用意された講義科目である。したがって、この講義では、今日的法領域の諸問題を取り扱うこともあれば、特定の講義領域の一部のみをさらに深化させて取り扱うこともある。どのようなテーマを扱うかについては「授業内容・計画(基本)」を参照していただきたい。


321 比較憲法

 

日本国憲法は、近代の欧米の諸憲法の影響を強く受けており、その内容の多くは、これらの国々で生成・発展してきた近代・現代立憲主義の流れを受け継ぎ、発展させたものである。したがって、憲法学でよく問題となる諸概念、例えば国民主権、議院内閣制、違憲審査制、自由権と社会権、人権の私人間適用、違憲審査基準などを理解するには,日本の実定法や判例を見るだけでは不十分である。実際には、欧米の諸憲法の歴史や現状、それに対する各国の憲法学説の分析から、日本国憲法の憲法学上の諸論点の解答を見出すための示唆を得ることも多い。

 

そこで本授業では、欧米諸国の1カ国ないし数カ国を選び、特に重要な憲法学上の論点を中心にして,それらの国の憲法の歴史と現状を比較検討する講義を行う。また、以上の近代・現代立憲主義の紹介だけでなく、これら欧米各国の立憲主義とその他の立憲主義(例えばアジア型人権論)との対比や、現代の国際化・グローバリゼーションの下での近代・現代立憲主義の変容(例えばEU における国家主権の部分移譲や地域分権化)も検討素材に加えることもある。

 


322 現代憲法論

 

本授業は、憲法(人権)や憲法(統治機構)の授業では、時間の関係上、十分に触れることのできない重要論点のいくつかを選んで、より詳しい講義を行う。その際、必要に応じて、欧米各国の憲法論との対比も試みられるので、その内容の一部は比較憲法と重なる。

 

本授業の前半部のテーマは、違憲立法審査権と現代憲法訴訟である。ここでは、違憲審査基準論や違憲審査の範囲と方法、違憲判決の効力などに関する重要論点が扱われる。そのうえで後半では、この講義を担当する教師の問題関心に即して、現代政党制、地方自治制、条約と憲法などの統治機構上の諸論点や、適法手続主義、外国人の人権、未成年者の人権、人権の制度的保障などの人権上の諸論点のいくつかにつき、詳しい講義を行う。また、「民主主義と立憲主義」、「現代リベラリズム憲法学」など、近年話題となっている憲法と政治哲学の臨界流域に関わるテーマを扱うこともある。詳細は、シラバスに示される。

 

受講生は、憲法(人権)または憲法(統治機構)のいずれかの授業内容を学んでいることが前提になる。できれば両方の知識を持った上で、本講義を受講することが望ましいが、絶対条件ではない。


323 地方自治法

 

日本の近代的な地方自治制度が創設されて一世紀が過ぎた。その中間で、日本国憲法の制定に伴う地方制度の民主改革も行われた。今日、日本の地方自治は、制度面でも経営面でも、世界一流の域に達しているといえる。

 

しかし、伝統的な中央集権的行政体制と東京一極集中の弊害は、遂に克服されることなく、今日に至っていることも否定できないであろう。いま、地方分権への大きな潮流の中で、地方分権推進法による、地方自治制度の大改革が進められ、1999年7月には、地方自治法の大改正を含む地方分権一括法案が可決されるに至った。21世紀に向って、若い世代は、分権化と民主化への歴史的な転換に立ち合っているのである。

 

本講義は、日本の地方自治制度の基本的な成り立ちを講ずる中で、地方自治の制度と運用の理論と実務に関する基礎知識を修得させることを目的とする。あわせて、地方自治体の政策形成、問題解決、住民参加等のシステムと実務にも触れ、地域の生活者として、また行政の実務家として地域社会で活動するための基礎的能力の開発を目指す。

 

講義の内容は、地方自治の理論、地方公共団体の構造と機能、代表民主制の制度と住民参加の問題、政府間関係、広域行政と合併、大都市制度並びに地方自治制度の改革論等に及ぶ。


324 税法

 

わが国の租税収入は、歳入全体の60パーセント近くを占める重要な財源です。現在、その抜本的な税制改革がすすめられています。公平、簡素、そして効率的な税制が求められているのです。消費税の税率のゆくえ、中所得者層の痛税感等、リアルタイムな問題を考えていく前提として、大変複雑な租税システムを理解していく必要があります。この授業では、国税の柱となる所得税、法人税、消費税および相続税の課税システムについて、各法律(所得税法、法人税法、消費税法および相続税法)の課税要件にそって理解を深めていきます。

 

税金は国民としてその履行を拒めない債務ですが、その租税をなぜ負担していかなければならないのか(租税の正当化根拠)、その租税に問題点はないのか、そしてそれはいかなる手法で克服できるのか、これらのことを考えていくことが21世紀の納税者としてきわめて大切なことです。

 

授業は実体法を中心に進めていきますが、手続や争訟についても納税者の権利保護の観点から、適宜ふれていきたいと思います。


325 憲法特論1

 

司法試験をはじめとする資格試験、国家試験および公務員試験合格を目標にする学生の憲法に関する学力の増進を目的とする科目です。この科目には履修制限が課せられ、「憲法(統治機構)」と「憲法(人権)」の両科目を優秀な成績で修得した学生に限定されます。履修者数によっては授業の進行方法が異なる場合がありますが、授業は質疑応答や問題・答案練習をベースに進める予定です。予習および復習は受講者の当然の義務とされ、成績は普段のこれらの成績を中心に決められます。

 

この科目では主に「統治機構」を中心に学びます。授業は各回異なるテーマを取り上げます。具体的なテーマは開講時に示す予定です。


326 憲法特論2

 

司法試験をはじめとする資格試験、国家試験および公務員試験合格を目標にする学生の憲法に関する学力の増進を目的とする科目です。この科目には履修制限が課せられ、「憲法(統治機構)」と「憲法(人権)」の両科目を優秀な成績で修得した学生に限定されます。履修者数によっては授業の進行方法が異なる場合がありますが、授業は質疑応答や問題・答案練習をベースに進める予定です。予習および復習は受講者の当然の義務とされ、成績は普段のこれらの成績を中心に決められます。

 

この科目では主に「基本的人権」を中心に学びます。授業は各回異なるテーマを取り上げます。具体的なテーマは開講時に示す予定です。


327 行政法特論1

 

行政国家と言われるように行政の活動は三権のうちでも抜きんでて重要なものとなっている。この行政の活動を法的にどのように統制するかということは極めて重要である。この点について、これまでの行政法学は、行政活動から相手方の権利・利益を守ることを主眼としてきた。そこでは、行政の活動に枠をはめ、行政権限の行使をできるだけ制約することが目指された。

 

他方、公害行政などにみられるように、相手方の自由を制約してでも行政活動によって他の市民の権利や利益を守ることも必要である。そのためには、行政権限の行使を制限するのではなくむしろ積極的に発動することが求められる。現代の行政法学は、伝統的な行政法学においてほとんど無視ないし軽視されてきたこのような第三者の利益を行政的法律関係の中に取り込み、行政法上の権利として理論化することを要請されており、現にそのような努力もなされている。本講義は、行政活動による過度の権利侵害を防止しつつ第三者の利益を保護するための法理論を、伝統的な学説を踏まえた上で理解することを目的とする。


328 行政法特論2

 

現代の市民生活において、行政の活動が必要不可欠なものであり、また、どれほど我々の生活に密着したものであるかということは、行政法特論1の講義において学んできたとおりである。そして、行政が法に基づいて適正に行われなければならないことも既に学んだ。しかし、行政が市民生活に密接に係わるようになればなるほど、適法に行われるべき行政によって我々の権利・利益が不当・違法に侵害されることも少なからず生じるようになる。また、公共の利益を確保するために、市民の権利・利益を制限しまたは奪うことを法により承認することが必要となることも少なくない。例えば、市民が公共施設内において何らかの事故にあった場合、そこで生じた損害を負担すべきは誰なのか、許可制の下におかれている営業行為を行っている者が、その許可を取り消され、または営業停止を命じられた場合、それに不服があればその者はどうすればよいのか、都市計画による土地利用制限によって生じた不利益を排除するにはどうすればよいのか等、様々な問題が生じる。行政法特論2においては、我々の権利がどのように保護されており、その侵害が生じた場合、救済を受けるにはどうすればよいのかということを学ぶことを目的とする。


332 刑法特論

 

刑法特論は資格試験等を目標として勉強する者のために、刑法について高度な学習内容を提供する科目であり、刑法(総論)、刑法(各論)で学んできた知識をより深めることを目的とするものである。ここでは、刑法の総論、各論を通して体系的に刑法学を学ぶとともに、そこで身に付けた基本的な知識と理解を前提として、判例に当たりながら具体的事例における法的問題の分析・検討を試みたい。


333 刑事訴訟法特論

 

一定の行為が犯罪とされ、一定の刑罰が科されるべきことは、刑法が定める。しかし、社会において現実に発生した犯罪に刑法を適用し、犯人に特定の刑罰を課すためには、一連の手続を必要とする。「捜査公訴第一審の公判・裁判上訴審の裁判〔確定〕刑の執行(非常救済手続)」と続くこの一連の手続を、刑事手続という。

 

個人間の私的な紛争の解決が求められている民事訴訟とは異なり、国家対個人の関係において、個人に対するさまざまな人権の制限を伴いつつ、国家刑罰権の実現をめざす刑事手続においては、個人の人権保障への配慮が必要不可欠である。しかし、犯罪が行われた以上必ず犯人を逮捕し処罰しなければならないという要求が強いために、刑事手続を担う国家機関は、とかく個人の人権保障に対する配慮を欠きがちになる。だからこそ、法律によって、そうした国家機関の行動を規制する必要があるのであり、憲法31条を受けて、刑事訴訟法がその役割を担っているのである。

 

この講義では、「刑事手続」の講義において得た基本的知識を前提として、捜査・公訴・公判手続・救済手続それぞれにおける重要論点につき、判例および実務と諸学説の対立とを明らかにすることにより、刑事訴訟法全般にわたる詳細な解釈論的問題について解説する。


341 民法(相続)

 

明治時代に施行されていたいわゆる明治民法は、「家」制度を採用し、家督相続制をその主柱の一つに据えていた。家督相続制とは、「家」の長の資格を相続する制度であり、第一次的には長男が単独で相続していた。長男以外の男子および女子は原則として家督相続人となれない、不平等な相続法であった。1945年の敗戦により、憲法が改正され、個人の尊厳、平等が家族法における基本原理となった。改正された民法第五編相続法においては、平等相続制が採用され、男女長幼の区別なく、子は平等に親の相続に与ることができるようになった。このような原理の大転換を経た現行相続法を講義の対象としたい。

 

相続法は、相続人、相続の効力、相続の承認・放棄、財産分離、相続人の不存在、遺言、遺留分などの部分からなる。講義では、相続法の基本的な体系を理解することを目標とし、そのうえで、現実が相続法に突きつける問題について理解を深めていきたい。同じく財産関係を対象とするとはいえ、相続法は他の財産法とは異なる特色をもつことに留意して欲しい。


342 民法特論1

 

民法特論1では、民法基本科目(「民法特論1・2」を除く、「民法」の名を冠した諸科目)において時間的な制約上、または、内容の高度さのために(十分に)触れることができなかった民法の諸論点を講ずる。

 

民法は、法律学の中でも範囲がことに広大であり、判例・学説の蓄積も群を抜いて膨大である。そのために、カリキュラム上でも民法基本科目に計6科目20単位を割り当てているが、それでも主要な論点を講義するのに十分ではない。また、学生が研究者あるいは法曹をはじめとする法律専門職を志す場合とそうではない場合とで、講義に求められる内容・程度は自ずと異なる。民法特論1は、主として前者の学生を想定して、より高度な内容および新しい論点を講じて、受講する学生が、大学院法学研究科あるいは法科大学院への進学、法律職の資格・採用試験等の受験にも対応できるよう、民法の高度な知識・能力の涵養を目指す。

 

なお、民法基本科目は、民法の体系に沿って科目の区分が設けられているが、実際には1つの論点が、科目区分の垣根を越えてほかの論点と密接不可分に絡み合っていることは稀ではない。民法特論1では、科目区分にとらわれず論点中心の講義を行う。


343 民法特論2

 

民法特論2では、民法基本科目(「民法特論1・2」を除く、「民法」の名を冠した諸科目)において時間的な制約上、または、内容の高度さのために(十分に)触れることができなかった民法の諸論点を講ずる。

 

民法は、法律学の中でも範囲がことに広大であり、判例・学説の蓄積も群を抜いて膨大である。そのために、カリキュラム上でも民法基本科目に計6科目20単位を割り当てているが、それでも主要な論点を講義するのに十分ではない。また、学生が研究者あるいは法曹をはじめとする法律専門職を志す場合とそうではない場合とで、講義に求められる内容・程度は自ずと異なる。民法特論1は、主として前者の学生を想定して、より高度な内容および新しい論点を講じて、受講する学生が、大学院法学研究科あるいは法科大学院への進学、法律職の資格・採用試験等の受験にも対応できるよう、民法の高度な知識・能力の涵養を目指す。

 

なお、民法基本科目は、民法の体系に沿って科目の区分が設けられているが、実際には1つの論点が、科目区分の垣根を越えてほかの論点と密接不可分に絡み合っていることは稀ではない。民法特論2では、科目区分にとらわれず論点中心の講義を行う。


351 商法特論1

 

商法特論1では、ロースクールの既修者用試験での合格並びにロースクール入学後の授業にスムーズに対応できるようにすることを目的として、企業組織法に関する問題について、重要な裁判例や学説を参照しながら解説・検討を行い、組織法に関する理解を一段と深めることを目標とする。


352 商法特論2

 

商法特論2では、ロースクールの既修者用試験での合格並びにロースクール入学後の授業にスムーズに対応できるようにすることを目的として、企業取引法に関する問題について、重要な裁判例や学説を参照しながら解説・検討を行い、取引法に関する理解を一段と深めることを目標とする。


361 倒産・民事執行法

 

この講義の目的は、民法、商法、手形法などの実体法が定める権利関係が具体的にどのようなプロセスで実現されてゆくのかを学習することにある。このプロセスを規律するのが倒産法(破産法、民事再生法、会社更生法など)と民事執行法であり、この講義では、前者を対象とする。倒産法の定める手続は、民事執行法の定める手続とは異なり、債務者である自然人または法人が経済破綻により生活または経済活動に行き詰まったときに、債務者に属する財産を明確にして、債権者に平等かつ公平に分配するための手続であって、債務者の全財産を対象とする点に特徴がある。そこでは、実現すべき権利の特質に応じた処理が要求されている。従って、倒産法を理解するためには、実現すべき権利関係を定める実体法(特に、民法)自体の十分な理解が前提となることに留意してもらいたい。

 

本講義では破産法を中心に説明してゆくが、併せて、実体法上の権利に相応した権利実現方法を手続的に保障する民事執行手続についても、ある程度言及したい。また、近時相次いで成立した新たな倒産制度や最近の倒産実務についても触れてゆく予定である。


362 民事訴訟法特論

 

本講義は、実務上問題となる法律問題につき、民事訴訟法に関する基本的な理解を前提に、事案を分析し、かつ抽出された民事訴訟法上の法的問題を処理する応用力を養成することを目的とする。そこでは、事案の分析力および正確かつ高度な民事訴訟法に関する知識の習得が目標であるが、同時に、文章作成能力の修得を要求したい。扱う例題は、判例集などに掲載された事例または学説上議論の多い事例を中心とする。文章作成能力の訓練のために、課題に対するレポートの作成を求めることがある。


370 環境法

 

本講義では、環境法の発展の経緯と現在の環境法の概要を学ぶ。環境法はもともと公害法として発展してきた。その際、多数の公害立法とともに、憲法、民法等の既存の法律によって対処が図られた。そこでは既存の理論に大きな修正が加えられた。そこでまず、これらによってどのような対処が図られたのか概観する。現在では激甚な公害問題は沈静化しているとされ、公害問題にとどまらない環境問題、すなわち、危険の発生を未然に防止したり、快適な生活を営むために必要な良好な環境を維持、創生したり、あるいは将来の世代に自然資源を残すための取組みが必要だといわれている。こういった問題を解決するための立法は活発に行われているが、いまだ不充分な点も少なくない。そこで、本講義では、歴史的発展を概観した後に、こういった問題に対処するための現在の法律を、自然環境、廃棄物等の分野別に、問題点の指摘も踏まえながら、概観することとする。


372 情報法

 

高度情報化社会ということがいわれるようになって久しい。情報処理技術の発達が我々にもたらした利便には計り知れないくらい大きなものがあるが、その反面,以前には考えられなかったような多種多様な問題が社会の情報化に伴って生じてきた。法制度に関しても社会の情報化の早さに対応しきれないことによる、多くの問題が生じてきた。例えば我々の様々な情報が、本人の全く知らないところで、収集・整理・蓄積・再編され、更にそれが転々流通し、新たな(しかも場合によっては事実無根の)情報が付加され、その結果として本人とは懸け離れた人物像が形成されるといったことが、情報処理技術の発達により生じているにもかかわらず、それを効果的に防止する法制は漸く整備の緒についたばかりで、未だ不充分な状況にある。

 

情報法という概念は未だ確立しておらず、かつてはマスメディア法と同義のものと理解されることもあった。しかし、今では、その力点を個人情報保護及び情報公開法制のあり方の検討に置くものから知的財産権やサイバースペースに係る法的問題の検討に置くものまで様々ではあるが、情報やメディアをめぐる法制を広く検討対象とする学問と認識されるようになってきている。

 

本講では、それらの内,主に前者についての理解を深めることを目標とする。


373 社会保障法

 

社会保障法とはどのような法であるのか。この問題は労働法に関すると同様にきわめてむずかしい問題であり、さまざまな答えがありうる。ここでは、社会保障法を「社会の構成員が、人たるに値する生活を送ることができるように、その遭遇する社会的事故に関連して、各種の公的な給付や措置をなすことを定める法の全体」と理解することとする。そうすると、社会保障法には、問題となる社会的事故の種類に応じてさまざまなものがあることになる。まず、社会の構成員が遭遇する社会的事故が傷病である場合に関して、健康保険法が存在する。つぎに、社会的事故が労働生活上の傷病である場合に関しては、労働者災害補償保険法が存在する。さらに、それが老齢である場合に関しては厚生年金保険法が存在する。これらはいずれも保険制度を利用する社会保険法であるが、このほかに、社会保障法には保険制度を利用しない児童福祉法、児童手当法や生活保護法もある。

 

この講義では、これらの各種の社会保障法に関して、できるだけ裁判所の判例を紹介しながら講義することにしたい。また、イギリスやドイツの法制度についても簡単に触れるつもりでいる。


381 海洋・宇宙法

 

この授業の目標は、何よりも、主として海の利用に関する国際法に関する基本的な知識を与えることにある。さらには、ニュースなどを通じて接する現実に生じる事件や問題に関連のある法的原則や規則にはどのようなものが考えられるのかといった点の感覚を養うこと、また、いっそう深く勉強したい人が知識と問題の扱い方を身に付けるようになること、現代の国際社会における法の役割について考察力を高めることも目標とする。

 

授業内容としては、海洋法、宇宙法の仕組を理解するために、海洋法、宇宙法として通常取り上げられる主要な問題について概説しながら、日本をめぐる海洋の諸問題、タンカーの海峡通航、プルトニウムの輸送問題、大陸棚の石油ガス開発、海洋の汚染防止、海洋の科学調査、宇宙開発における協力などの個別の問題についてもとりあげていく。とくに、1994年11月に発効した国連海洋法条約によって大きく変化した新しい海洋法秩序がどのようなものであるかを伝統的な秩序と比較しながら理解すること、漁業問題や海洋開発技術の発達がどのように海洋法秩序に変更を迫てきたのかを学ぶこと、さらには、宇宙開発の発展も宇宙に新しい法秩序を要求してきたが、その展開及び将来の課題がどのようなものであるかについて知ることが重要である。


382 国際私法

 

国際的な婚姻・離婚、親子関係、相続などの国際家族の法律関係、企業の国際的事業活動、国際的な契約、不法行為などの国際取引の法律関係は、法的にどのように解決されるか、という問題を考察する。国際化した現代社会において、人々の生活は国境を越えて営まれているが、法・法律は現在のところ国家(法域)単位で整備され、しかも各国法の内容には相違があるのが実情である。したがって、一方では、法律関係に外国的要素を含む渉外法律関係の出現、他方では、内容に相違がある各国法の並存という現実に対して、その渉外法律関係をどのように法規制すべきか、という法律問題の解決を検討する必要がある。

 

国際私法規定は、法律関係を示す概念と連結素を示す概念とにより構成する。したがって、渉外法律関係をいかなる法律関係に性質決定するかにより国際私法規定が決定され、そこに規定する連結素を具体的な事案において確定することによって、その渉外法律関係の準拠すべき実質法(いずれかの国家法)が選定される。選定された準拠法が渉外法律関係に適用される。

 

こうした渉外法律関係の国際私法的処理のプロセスを講義することによって、国際的かつ法的なバランス感覚を養成したい。


383 国際経済法

 

二十世紀末に世界経済は大きく変貌した。交通・輸送手段の発達、通信・情報革命、共産主義国の市場経済への移行、GATT による貿易自由化、国内規制の緩和などのために世界経済のグローバル化(一体化)が進んだ。それにともなって、外国投資が増加し、多くの多国籍企業が出現し、企業間の国際競争と国際摩擦が激化してきた。以上のような状況のなかで世界の秩序を守る国際機関の役割が増大している。特に貿易・経済面では、国際機関のルールと活動が貿易や国内経済に与える影響が大きくなった。

 

ウルグアイ・ラウンド貿易交渉の結果、「関税と貿易に関する一般協定−GATT」に代わって1995年1月に「世界貿易機関−WTO」が発足した。この国際機関は市場経済国の貿易自由化とルール作りを貿易交渉によって進めてきた。

 

WTOは管轄範囲を拡大し、商品の貿易のみならず、金融・通信・流通など広範囲のサービス(第三次産業)の貿易も管轄している。さらに特許や著作権などの知的所有権についての強力な国際ルールを作成し、運営している。また、国際紛争を解決する裁判的機能を充実させた。

 

国際経済法の講義はWTOのルールとその運用を中心とし、EU NAFTA などの地域的経済の統合、貿易に関連した環境問題、中国や台湾などのWTO加入問題、国際経済における企業の役割にも触れる。


384 欧州法B

 

欧州法は、日本の近代化における母法の役割を果たした。この講義では法の歴史をさかのぼり、ローマ以来の欧州法に触れながら、欧州法の特質、世界法系の中での地位を説明する。

 

現代欧州法は、欧州連合(EU)統合に象徴される現代法の先端を行く法として注目されている。その変化、拡大する部分は、2004年以降、25カ国体制になった。

 

比較法においては、この欧州法拡大のプロセスは歴史的な事件で、欧米の学者専門家が中東欧諸国の体制転換作業に参加し、比較法の成果を上げた。

 

その場合に、現代欧州法の本質が問われるが、社会主義法の欠陥として指摘されていた人権保護、政治的多元主義などがまず実現した。しかし現代社会、特に21世紀を迎えた現在は、それだけではない。技術発展に伴うエコロジー、小さな国家を目指す市民社会では、市民の個人的権利と責任はますます拡大する。このような状況を、講義では説明する。