200 法医学

 

医学は基礎医学、臨床医学、社会医学に分けられる。社会医学としての法医学は「医学的解明、助言を必要とする法律上の案件、事項について、科学的で公正な医学的判断を下すことにより、個人の基本的人権を擁護し、ひいては社会の安全、福祉の維持に寄与することを目的とする医学」と定義されている。

 

社会をより健全に維持していくためには、適正な法律の制度、運用、執行が必要であり、その過程において法医学的判断、助言が必要な場面も多い。たとえば司法鑑定などはその代表的なものである。したがって、法医学の対象とするのは主として、傷害(傷害致死)事件、交通事故、医療事故、労働災害、親子鑑定、変死体に関連する種々検査などであり、関連する法律は刑法、民法、医師法、医療法、死体解剖保存法、母体保護法、伝染病予防法、検疫法、食品衛生法、麻薬取締法、戸籍法など多岐にわたる。

 

法学部法律学科の学生たちがこれら法律と医学との関連を多少とも理解し、将来何らかの場面で役立てられるような講義となることを目標とする。


201 演習1A

 

演習とは、担当各教員が専門とする法分野についての理解を深めることを目的として、少人数を対象とした教育を行うものである。各教員によってその進め方は様々であるが、多くの場合1つのテーマにつき予め決められた報告者が発表し、それについて参加者全員で質疑・討論するという形式で行われる。演習は、それを通じて、自らの関心対象である専門法分野の知識を得るばかりでなく、資料収集の方法・文献の調べかた・資料整理の方法などを学び、さらに、発表・意見交換・討議能力を身につけることのできる場であり、それによって、自発的により深く、より広く勉学するという機会が提供される。また、教員と親しく接するという貴重な機会が与えられる場としての意味ももつ。学生諸君には、この機会を大いに利用するつもりで意欲的に参加してもらいたい。

 

各々の演習担当者ごとの具体的内容については、募集手続きの時に配付される演習パンフレットを参照されたい。

 


202 総合演習

 

総合演習とは、家族、人権、異文化理解といった問題について、法的な観点から検討し、理解を深めることを目的として設けられた少人数教育のための科目である。演習参加者はこれらの問題から個別具体的なテーマを選択し、そのテーマについて調査・発表を行い、それに基づいて演習参加者全員で質疑・討論を行う。

 

このような過程を通じて、演習参加者は自らの関心対象についてだけでなく、関連する諸問題についての専門的な法律知識を獲得し、文献検索・資料収集整理の方法を修得し、さらには口頭発表・討論能力を、すなわち、自ら具体的な問題を見出し解決する能力を身につけることができる。


203  演習1B

 

演習とは、担当各教員が専門とする法分野についての理解を深めることを目的として、少人数を対象とした教育を行うものである。各教員によってその進め方は様々であるが、多くの場合1つのテーマにつき予め決められた報告者が発表し、それについて参加者全員で質疑・討論するという形式で行われる。演習は、それを通じて、自らの関心対象である専門法分野の知識を得るばかりでなく、資料収集の方法・文献の調べかた・資料整理の方法などを学び、さらに、発表・意見交換・討議能力を身につけることのできる場であり、それによって、自発的により深く、より広く勉学するという機会が提供される。また、教員と親しく接するという貴重な機会が与えられる場としての意味ももつ。学生諸君には、この機会を大いに利用するつもりで意欲的に参加してもらいたい。

 

各々の演習担当者ごとの具体的内容については、募集手続きの時に配付される別紙演習パンフレットを参照されたい。


204 演習2A

 

演習とは、担当各教員が専門とする法分野についての理解を深めることを目的として、少人数を対象とした教育を行うものである。各教員によってその進め方は様々であるが、多くの場合1つのテーマにつき予め決められた報告者が発表し、それについて参加者全員で質疑・討論するという形式で行われる。演習は、それを通じて、自らの関心対象である専門法分野の知識を得るばかりでなく、資料収集の方法・文献の調べかた・資料整理の方法などを学び、さらに、発表・意見交換・討議能力を身につけることのできる場であり、それによって、自発的により深く、より広く勉学するという機会が提供される。また、教員と親しく接するという貴重な機会が与えられる場としての意味ももつ。学生諸君には、この機会を大いに利用するつもりで意欲的に参加してもらいたい。

 

演習1(または総合演習)と演習2の関係については、二通りの場合がある。まず演習1終了後に、その次のセメスターに演習2が設定されている場合は、演習2は演習1の内容をさらに継続・発展させたものである。演習1(総合演習)と演習2が同一セメスターの同一曜日に連続開講される場合には、実際には演習1(または総合演習)と演習2が一体となるような教育が行われる。どちらの場合も、演習1(または総合演習)と演習2の両方を学ぶことで、当該法分野の基本的知識が得られることになる。

 

各々の演習担当者ごとの具体的内容については、募集手続きの時に配付される別紙演習パンフレットを参照されたい。


205  演習2B

 

演習とは、担当各教員が専門とする法分野についての理解を深めることを目的として、少人数を対象とした教育を行うものである。各教員によってその進め方は様々であるが、多くの場合1つのテーマにつき予め決められた報告者が発表し、それについて参加者全員で質疑・討論するという形式で行われる。演習は、それを通じて、自らの関心対象である専門法分野の知識を得るばかりでなく、資料収集の方法・文献の調べかた・資料整理の方法などを学び、さらに、発表・意見交換・討議能力を身につけることのできる場であり、それによって、自発的により深く、より広く勉学するという機会が提供される。また、教員と親しく接するという貴重な機会が与えられる場としての意味ももつ。学生諸君には、この機会を大いに利用するつもりで意欲的に参加してもらいたい。

 

演習1(または総合演習)と演習2の関係については、二通りの場合がある。まず演習1終了後に、その次のセメスターに演習2が設定されている場合は、演習2は演習1の内容をさらに継続・発展させたものである。演習1(総合演習)と演習2が同一セメスターの同一曜日に連続開講される場合には、実際には演習1(または総合演習)と演習2が一体となるような教育が行われる。どちらの場合も、演習1(または総合演習)と演習2の両方を学ぶことで、当該法分野の基本的知識が得られることになる。

 

各々の演習担当者ごとの具体的内容については、募集手続きの時に配付される別紙演習パンフレットを参照されたい。


211 法哲学

 

この講義は、主に第3、第5セメスター生に対して、本格的に学びつつある実定法学の足元を問うと同時に、それを学びつつある自分の足元も反省する機会を提供し、その結果を実定法学の学習に反映させ、より高く深い専門知識を習得してもらうことを目的としています。その目的に基づいて、講義は、法律学の世界においてこれまで「常識」とか「当たり前」とかとされて、ほとんど誰からも疑われなかった事柄、ひとまず全部疑ってみて、その上で、可能な限りその根拠を探り当ててみる、という方法を取ることにしました。そうしてみると、根拠はそれほど簡単には見つからないものだ、ということが分かるはずです。ちょうど、小さな子供の投げかけた素朴な質問に、答えられないでいる大人みたいな状態になってしまうのです。

 

そんなことをしてどんな意味があるのか、というと、法についてのいわゆる「知ったかぶり」をしないですむ、ということです。そして、「知ったかぶり」をしている人たち(裸の王様)も見えてくるということです。法律学の世界にはたくさんの裸の王様がいるのですが、法律学も学問、科学である以上、私たちは「王様は裸だ!」と言ってやらなければならないはずです。


212 法制史

 

法の歴史を研究する法制史学の対象には、西洋、日本、東洋などがあるが、本講義では特に西洋法史を中心に授業を行う。

 

近年のヨーロッパの変動には目を見はるべきものがある。この大きな変化の底流には「近代的なるもの」がさまざまな領域で再検討されだしたということがあるだろう。たとえば、絶対的な主権の概念も今日のヨーロッパ統合の流れのなかで揺らいでいるが、この問題も主権観念の成立する近世ヨーロッパの時代状況にまでさかのぼって考えてみる必要がある。西洋法史は一見、現代的な問題とまったくかけ離れているかのように思われるかもしれないが、究極のところでは今日的な問題関心をもってのぞむことが重要だし、逆に今度は近代法制度のよって立つところを知ることで奥行きのある理解が可能となり、国際社会に通用する知的視野の広がりを獲得することができるだろう。


213 法社会学

 

法解釈学は、条文にどのような意味を与えれば体系的で一貫しかつ具体的に妥当な法規範を構成できるかということについての研究であるのに対して、法社会学は、法規も含めて様々な法的な制度やメカニズムが、実際の社会・文化の中でどのように機能しているかについて組織的に研究する社会科学の一分野である。

 

講義においては、法社会学と他の法学分野との関連、法社会学の歴史、法と紛争の問題、日本人に特有の法意識・法文化、法社会学における研究方法の論理、等の問題を取り上げる。法社会学は他の実定法分野と異質な研究目標と研究方法を有するので、単に知識の提供にとどまらず、法に対する「見方」「考え方」の相違についての認識を持ってもらうことに本講義の重要な目的の一つがある。


221 行政法

 

行政は、(少なくとも建前上は)公益の実現のために活動する。したがって、行政活動に関しては、原則として私的利益のためになされる私人の活動とは異なる、公益確保のための法的取扱いが現行法上なされている。例えば、行政処分は、たとえ違法であっても、取消訴訟等により取消がなされていない限り、有効なものとして扱われることとなっているのである。さらに、立法・行政・司法の三権の中で(事実上)最も強大な権力であり、市民に最も近いところで活動しているがゆえに、私人の権利・利益を侵害する大きな危険性も行政活動には付随するため、上述したところとは逆に厳しい法的制約を課すことも要請される(法律による行政の原理)。行政の活動によって現実に損害を受け、または受けるおそれのある私人が存する場合には、これを法的に救済することが必要であり、現にそのための制度がある。国家賠償、行政不服審査、行政訴訟等である。

 

本講義では、行政活動に関する特殊な法的制度について、まずは学習する。次に、私人の権利・利益の救済のための法制度を学ぶことが、本講義の目的となる。


241 民法(契約法)

 

本講義では民法第3編債権編のなかの各論のうち、不法行為を除いた部分、すなわち、契約(売買契約、賃貸借契約、委任契約、請負契約、事務管理契約)、不当利得等が講じられる。本講義を受講する諸君のうちの多くは、すでに民法(総則)および民法(債権総論・不法行為)を受講しているはずであるが、この講義を受講することにより、それらの先行する科目で諸君が身につけた概念や知識は、より具体的な内容を伴うことになる。たとえば、諸君が民法(総則)の講義で理解した「法律行為」というもののもっとも一般的なものは売買であるから、この講義を受講することにより、法律行為というものの現実の姿を諸君はより容易にイメージできることになる。また、債権総論の中で講じられた債権という概念も、契約関係にある当事者間の法律関係を把握するためにも用いられるものであるから、この講義を受講することにより、諸君は、債権というものの現実の姿をより容易にイメージできるようになる。もちろん、本当に諸君がこれらのことができるようになるためには、諸君自身のたゆまぬ努力が必要なのであり、本講義の目標は、そのような諸君の努力にペースメーカーを提供することにとどまる。諸君がなすべきことは、みずから批判的に知識を獲得するということなのであり、洗脳を受けるということではないからである。


242 民法(物権)

 

民法(物権)は、通常の教科書では「物権法」と「担保物権法」という区分で説明されている分野である。条文では、民法175条から398条の22までが、第二編「物権」という標題になっている。このうち、295条以下が担保物権法と呼ばれる部分である。

 

物権がおわると、民法399条からは「債権」という標題になっている。つまり民法は、「人」の権利の種類を「物権」と「債権」に分類しているのである。

 

債権」というのは、ある人とある人の間の権利関係で、その権利の内容は、原則として、契約の自由の働く分野である。これに対して「物権」は、ある人が「物」に対して有する権利であって、その権利の内容は、民法により定まる。「物権」の代表は「所有権」だが、これを制約する権利として、地上権などの「用益物権」や抵当権のような「担保物権」があるわけである。

 

資本主義経済の国では「私有財産」が認められ、それが「商品交換」の形をとるのが「取引」である。会社や個人の様々な経済活動の成果は、「物権」と「債権」に分類されて、法の保護を受ける。いわば現代の経済社会の基礎を支えるのが、物権法と債権法である。この講義ではとくに物権について詳細な説明を行う。きわめて難解であるが、必死になって理解しようとすれば、理解できないものではない。


243 民法(親族)

 

家族は社会の細胞をなすといわれて久しいが、この20〜30年間における欧米先進諸国にみられる家族の実態の変化には激しいものがある。わが国でも、マスコミのいうところの「家族の崩壊」迄には至っていないとしても、従来みられなかった変化が認められるようになってきた。いずれ日本が欧米のようにならないとも限らない。このような家族の変化に対応して、欧米では数々の法改正がなされてきており、これらをふまえて、日本でも改正の準備がなされてきた。夫婦別姓、非嫡出子の相続分の問題などが、その一部である。わが国における家族に関する法は、民法第四編親族法に見出される。親族法は、婚姻、親子、親権、後見、扶養の各部分から構成されている。この親族法を講義の対象とし、その体系を理解し、さらにその上で、現実の家族の変化がこの体系にいかなる課題を突きつけようとしているのか、また、どのような解決の仕方がありうるのか、といった点についても学んでいきたい。


251 商法(商取引法)

 

商法第3編商行為法(第10章保険を含む。)は、総則の「商行為」の定義、内容を含め、売買、仲立営業、運送営業、倉庫営業、保険等われわれの日常の経済生活に密接に関連する法領域である。この領域は、民法の売買、委任、寄託等の契約や法律行為の特則を規定するもので、従来学んで来た民法と対比して授業を行うので、民法の総則、契約法等の復習にもなる。これから実社会に出て社会人として活躍しようとする学生にとって、極めて重要な講義であり、そのため授業の方法、内容には以下のような工夫をしている。第1は、実際の商取引の内容とその法律上の問題点を具体的に学習するのに役立つように、商取引法関係の最近の判例を参考教材として利用していることである(判例は、授業の際にレジュメと共に配布する)。第2は、商取引の実際を一層理解するため、講義の内容を経済取引法の分野(不正競争防止法、独禁法等)や民法・外国取引法の分野にも拡げ、現在トピックスとなっている事項について、各種論文等を補助教材にして授業の内容を深みのある、かつ、分かり易いものとすることに努力している。


252 商法(会社法)

 

現代は、企業の時代であるといわれる。企業の活動は、我々の生活の隅々におよび、我々に利益をもたらすと同時に脅威をも与える。このような企業の活動や組織を規制する法の一つが商法である。商法は、企業の組織を規制対象とする組織法と、企業の活動を規制の対象とする取引法に分けることができる。本講義は、企業組織法のうちでも中心となる会社法を講義対象とする。

 

わが国においては、会社の形態として、合名会社、合資会社、有限会社、株式会社の4種類の会社が法律上定められている。このうち、株式会社は、零細な資本を糾合して、大規模経営を行うことを可能とする。上場企業は言うまでもなくすべて株式会社である。また、株式会社の形態は、わが国企業と外国企業とのジョイントベンチャーにおいても中心的に利用されている。このように株式会社法の知識は、国内における経済活動の場においてのみならず、国際的な活動の場においても不可欠である。本講義では、株式会社の設立、運営および組織につき体系的に学習することを目標とする。


253 商法(手形法・小切手法)

 

1.手形(小切手も)や株券は、目に見えない「権利」を「紙片」に乗せて、権利の流通を促進する技術である。そのため、「手形の流通保護(促進)」ということが、講義全体のキーワードとなっている。

 

2.これを「手形の取引の安全」とか「動的安全の保護」というが、そのため「静的安全の保護」はこれに遅れるということになる。新たに「紙片」を入手した者のほうが優先し、以前にこの「紙片」を持っていたのだが、これをだまし取られたり紛失してしまった者は、不利な扱いを受けることとなる。

 

3.こうしたところを理屈で説明しようとする抽象的な法理論が、「有価証券法」あるいは「手形理論」と呼ばれ、19世紀末のドイツ法学でもてはやされた。手形法が分かりにくいのは、こうした歴史的伝統による。

 

4.その一方で、手形については、商業科のある高等学校でも学ぶところである。事業を営むにあたっては、まず銀行等の金融機関に、「当座預金口座」を開設して手形帳(小切手帳)を受け取り、商取引の決済にあたり、手形を振り出すことが行われる。その支払期日(満期)までには、口座に支払資金が入金されていなくてはならない。でなければ、「手形が落ちない(不渡り)」こととなり、企業は倒産に追い込まれる。

 

5.そのための経営者の苦闘とか、詐欺師に手形をだまし取られたり、反対に、不渡り手形をつかまされたりするという、「ナニワ金融道」や「ミナミの帝王」そのままの世界が繰り広げられるわけである。

 

社会生活の経験なしに、こうした社会背景を理解することは困難だが、想像力を働かせて講義に参加しよう。


254 商法(金融法)

 

金融法の講義の対象としては、多様な問題が考えられるが、本講義では、銀行取引、証券取引にかかわる諸問題を取り上げる。論点は、預金取引、貸付取引の伝統的な問題から、株券の振替決済、EFT、金融先物取引、デリバティブ等の現代的な問題にまで及ぶ予定である。授業内容としては、金融法の基礎理論から始まり、預金取引におけるカード等の不正使用と銀行の免責に関する問題、金融の証券化に関する問題や、金融のグローバル化と金融市場の将来等に関しても検討する予定である。


261 民事訴訟法

 

実体法が定める権利について私人間で争いが生じた場合に、司法機関が関与して紛争を解決する手続には様々なものがある。対立当事者による一定限度での合意を前提とする特別法による仲裁手続や調停手続も有用であるが、我々にとって最も重要であるのは民事訴訟法が定める判決手続である。判決手続とは、民事上の法律上の争訟について、対立する当事者に主体的に関与してもらったうえで、裁判所が事実認定及び法適用により権利又は法律関係をめぐる争いが極めて対決的である場合に役立つ。それだけに、その手続は両当事者の手続保障を配慮して厳格かつ複雑となっている。

 

この講義では、複雑な判決手続をおおよそ20程度の論点に分けたうえで、その基本知識を押さえ、かつ事例分析をおこなうことによって応用力を養ってもらおうと考えている。なお、前提として、民法(特に、物権法及び債権法)の知識が必要となるので、未履修者は予習が不可欠となろう。


271 労働関係法

 

現代の日本社会は、働く人の85%近くが他人に雇用されて働いているという点において、雇用社会であるということができます。この雇用社会に適用される法的ルールが労働関係法です。

 

もう少し具体的にいうと、採用(就職)、昇進、配転(転勤)、退職、賃金、労働時間、休暇などの雇用関係の様々な局面における、雇用されて働く者(労働者)と、これを雇用する者(使用者)との間の権利・義務関係、あるいは、雇用関係に独特な集団的利益調整のしくみである労働組合及びそれを通じた団体交渉や争議行為に関する法的ルールなどが、労働関係法の主たる内容です。また、労働力の需給調整の円滑化を図るという政府の役割に関する法的ルールも、特に近年、労働関係法の中で重要な存在となっています。

 

学生の皆さんにとっても身近な問題となりうる、こうした雇用社会の法的諸ルールについて、特に近年の理論的・実務的課題に重点を置きつつ、その基本的な構造を理解してもらうことが、本講義の目的です。


272 医療の法と倫理

 

その1(医療過程論)

 

1.医療をめぐる諸問題への法的アプローチを導く諸原理の理解/健康に対する権利、医師の裁量権、安全性の原理など

2.現在のわが国の医療の基盤をかたちづくる制度の理解/人的(医師法など)、物的(医療法など)、財源的(健康保険法など)に。

3.医療過誤をめぐる制裁の諸制度/非法的制度および準法的制度/法的制度(刑事、民事、行政の諸制度)と、その性格・限界を理解する。

 

その2(特殊問題)

 

1.医学技術の急速な進歩に、法・社会が適応するために努めている状況、および反対に科学のあり方、殊にその応用のあり方に法的規制を加えんとする状況の理解

2.人の死をめぐる諸問題の理解/脳死の概念と法的問題/臓器移植(法)をめぐる問題点

3.人の出生をめぐる諸問題の理解/人工生殖の概要/その抱える法的・倫理的問題点の理解

4.臨床試験研究の概要と、その抱える法的・倫理的問題点の理解/臨床試験研究の必要性の理解、その概要/臨床試験における被験者の権利の保護


273 知的財産権法(工業所有権)

 

2004年1月青色発光ダイオードの発明者に対する対価として企業に200億円の支払命令が出された。IT 革命が進行しテクノロジーが飛躍的に発展している今日、人類の知的財産であるテクノロジー、デザイン、ブランドそしてアートの法的保護の重要性は高まるばかりである。知的財産権は、これらの知的創作に対する私権であり排他的独占権である。その保護法を知的財産権法とか知的所有権法と総称している。知的財産権の保護は、国内だけでは不十分であり、グローバルでなければならない。また、知的財産の利用形態は企業と個人との差が小さくなり、誰もが知的財産権に関する法的なルールと無縁ではなくなっている。ビジネスモデル、バイオテクノロジー、コンピュータ・ソフトウェア、データベース等の発達も新たなレベルの保護が検討されている。この講義では、知的財産権法のうち、テクノロジー、デザインとブランドに関する工業所有権法の体系的な理解をめざしたい。

 

授業の内容は概略以下の順序で行い、パワーポイントを駆使してなるべく多くの実例に即して展開する。

 

1知的財産権法の世界へ/2知的財産権の国際的保護/3テクノロジーと知的財産権(発明と特許法)/4バイオテクノロジーと知的財産権/5実用新案の保護/6インダストリアル・デザイン(意匠)の保護/7ブランドと知的財産権(トレードマーク、サービスマーク(商標)の保護)/8不正競争防止法)/9半導体レイアウトと知的財産権/7インターネットと知的財産権


274 知的財産権法(著作権)

 

中古ゲームソフトやファイル交換サービスの事件がこの授業では登場する。知的財産権は、テクノロジーに関する権利、マークに関する権利、そしてアートに関する権利に大別される。この講義で取り扱うのはアートに関する知的財産権である。これには、著作物に対する独占排他的権利である著作権と、歌手、演奏家、俳優などのパフォーマンスなどに対する著作隣接権がある。その他に、歌手や俳優などの肖像に対するパブリシティの権利もある。今日、インターネット上で流通するコンテンツのほとんどが、このような著作物や演奏・上演等である。そこにおけるルールが著作権法である。この講義では、アートと知的財産権に関する国内および国際ルールの体系的な理解をめざしたい。

 

授業は概略以下の順序で、パワーポイントを駆使してなるべく多くの実例を紹介しながら展開する。

 

1知的財産権法の世界へ/2アートと知的財産権(著作権法の保護対象、著作権の効力、著作物の自由利用、著作権の存続期間、著作権侵害と救済/3パフォーマー等の著作隣接権/4キャラクターと商品化ビジネス・著名人の肖像・氏名(パブリシティ権)/5デジタル化社会と知的財産権/6知的財産の国際的展開


275 経済法

 

今、日本の経済社会は大きな変革を必要とし、その一つとして従来の規制や慣行によらず、企業が自己の責任において、より自由に活動することが求められています.しかし、このことは企業の無制限な活動を許容することを意味するのではなく、自由・公正な競争秩序の枠組みの中で行われるべきであり、この秩序の枠組みをつくる法制度が独占禁止法なのです。

 

自由・公正な競争の促進は、わが国を含む自由主義経済の基本理念であるにもかかわらず、わが国では必ずしも十分に理解されていたわけではなく、例えば、談合、カルテル、排他的取引慣行等、競争制限的な企業活動が行われています。

 

本講義では、わが国経済の基本ルールであり、企業活動に大きな関わりを有する独占禁止法について、その基本的内容と考え方、運用の現状と問題点を主として事例を中心に検討するとともに、経済学と独占禁止法、ホット・イシューとして、知的財産権・規制緩和・国際取引・IT 革命と独占禁止法等、経済と多様な企業活動に対する独占禁止法の取り組みと考え方を紹介します。


281 国際法1

 

この授業は、国際社会のグローバル化が進む中においても依然としてその基盤となっている国家間の関係について、これを規律している法を理解することを目標とする。そのためには、過去に実際に生じた国家間の紛争が解決されるにあたりどこに「法」との接点が存在したのかを知ること、また、国家間に現に生じ今後も生じる問題を「法的な観点」から観察しそれを「法」の言葉で論じるための基礎的能力を養うことが重要となる。たとえば新聞記事を見た場合に、どこに、そして、どのように「国際法」との接点があるのか(あるいはないのか)を発見することができるようになれば、この授業の目標は達成されたといってよい。また、「国際法」を深く学びたい者に、その出発点となる基礎を提供することも、この授業の目標である。

 

こうした目標を達成するため、国際法の教科書で普通触れられる主要な問題をとりあげ、解説していく。たとえば、国際法はどのようにして形成されるのか、国際法の主体である国家はどのような権利をもち義務を負っているのか、また、個人や国際組織についてはどうか、海や河川、空や宇宙の利用についてどのような規則があるのか、紛争を解決する方法や武力行使の規制のあり方、安全保障の問題などについて、論じていく。その際に、現在の国際社会において、どのような法的原則・規則があり国家を法的に拘束しているかを知るばかりでなく、国際社会の法的秩序や個々の法的原則・規則がどのようなプロセスを経て形成されてきたのか、とくに、その形成の過程でどのような対立を経て現在の法にいたったのか、また、現在においてもいまだ「法的な枠組」が明確には確立せず争いが残されているのはどういう点か、ということを理解することも重要になる。


282 国際法2

 

この授業は、「国際法T」に引き続いて、国際社会において基本単位を構成する国家間の法的関係を理解することを目標とするものである。「国際法T」と同様に、新聞記事などで目にする国際関係において生じる問題を、法的な視点から分析し、法の言葉でこれを語る能力を高めることを目標の一つとする。また、目標の中には、国際法を深く勉強しようとする者に、基本的な理解力を確かめつつ、いっそう深い勉強を行うための手がかりを与えることも含まれる。

 

授業でとりあげられる問題は、「国際法T」の授業では手薄なまま残された分野や発展的な問題、また、新しく生じている問題やいくつかの分野に関わる横断的な問題を中心とする。その多くは「国際法T」でも扱われるものではあるが、その理解を確実なものとしつつ、そこでは扱いきれない部分をさらに深く理解していくことがこの授業の内容となる。たとえば、実際に生じた紛争や国際法の適用事例に即して国際法の適用や執行の仕組を理解すること、また、国際社会においてあらたに対処を求められている問題に対してどのような対応が考えられるかを考察することなどを行う。


283 国際組織法

 

第二次大戦後、政治・経済・社会等の広範囲な分野において、世界の秩序を構築し、世界平和に寄与するために、国連など多くの国際機関が設立された。東西冷戦中は米ソの対立のために国連の機能が制約されることが多かったが、その対立はほぼ解消し、共産圏諸国が計画経済を放棄して市場経済に移行している。

 

また、二十世紀末に航空機などの交通・運送手段が著しく発達し、コンピュータの普及などで通信・情報革命が起こった。その結果、世界経済の一体化が進み、企業間の国際競争を激化させ、世界の政治・経済・社会の秩序を維持する国際機関の役割が大きくなってきた。

 

たとえば、日本がその国力にふさわしい役割を担うことが世界から期待されており、国連の機構改革構想により、日本が国連安全保障理事会の常任理事国になることが検討されている。95年にガットが世界貿易機関(WTO)に改組され、管轄範囲が広がり、国際紛争機能が強化された。

 

近年環境問題が重要になり、種々の国際機関が環境問題に取り組んでいる。

 

国連やWTOのような世界的な国際機関のほかに、EU, NAFTA, ASEAN, OECD,APEC,ESCAP のような地域的国際機関がある。その活動と国連やWTOとの関係はどうなのかといった問題も生じている。

 

この講義は、以上のように現在の国際社会においてますます大きな役割を果たすようになった国際組織について、その活動内容や制度を概説する。


284 国際取引法

 

本講座においては、種々の国際間取引に関連して生起する法律問題のうち、基本的かつ重要な問題を取り上げる。授業の中で、なぜそのような問題が発生するのか、また問題解決のために、我が国若しくは国際間においてどのようなルールが設定されているのか等についての理解を深めることを目的とするものである。授業では、抽象的な用語の解説に終始することは極力避け、企業買収、国際金融、知的財産権、独占禁止法、国際倒産、国際裁判管轄等のテーマを各回毎に設定し、各テーマに関連した著名事件若しくは講師が個人的に取り扱った事件等、実際に発生した国際間の紛争案件を題材に取り上げる。当該事案の内容を概説した後、各案件に関連した国際間取引の基本的スキームや法律問題の解説を行う予定である。従って、授業の内容は必ずしも国際取引の分野に限定されるものではなく、国際紛争解決に関する法分野にも踏みこむことになる。年間の授業を通じて、様々な国際間取引のうちの主要な類型及びそれらに関連する法律問題をほぼ網羅することを目標としている。


285 国際人権法

 

この授業は国際社会における人権保障の法的・制度的発展とその現在の到達点を理解することを目標とする。また、国際的な人権保障に関する法的アプローチを身につけ、法的な側面から議論を展開する能力を養うことも目標とする。そのため、人権を保障するという考えが、どのような経緯をたどって国際社会に現れ、そして発展してきたのか、国際的に保障される人権にはどのようなものがあるか、国際的に人権を保障するための制度的な仕組はどのようになっているのか、人権は普遍的なものとして国際社会で保障されるようになったのか、現在においてもいまだ残されている課題にはどのようなものがあるのか、といった点を考えながら、人権保障に関する条約その他を通じた国際的規範の発展とその内容、それを実現していくための条約上のシステム、国連その他の国際組織の活動、人権条約の国内的実施などについて概説する。その際、国際社会において人権保障制度が発展していくための条件や、国際的な人権保障という観点から見た場合、日本の現状はどのように位置付けられるか、といったことについて、洞察力を身につけることが重要となる。


286 アジア法

 

アジアと言うと非常に広い。とくに東アジア地域に内外の新しい関心が寄せられている。日本はもとより中国、韓国、北朝鮮、台湾、香港、あるいはベトナム、シンガポールなどが同じ漢字文化圏ないしは儒家文化圏にありながら、その社会体制、法律制度、経済発展の現状はきわめて多様であり、また、不均等である。アジアはあまりにも広く、かつ多様化であるので、本授業は、アジア法の概況と中国法および台湾の中華民国法を重点的に講義する。今や社会主義体制を維持する数少ない国の一つの中国は、アジア地域に於けるばかりでなく、世界的に新国際秩序の構築と安全に大きな影響力を持つ存在となっている。80年代から進められてきた、改革・開放政策に合せて、WTOの加入と今後の経済発展とともに法制度もかなり進んでいる。皆さんも同じアジアの一員として、中国の今後の発展、法治、民主化の動きなど、私といっしょに興味深く見つめてください。


287 英米法

 

この授業の主たる目標は、英米の法システムの大枠を概観することにあるが、アメリカ法制度の特徴を理解することに力点が置かれる。(イギリス法については、アメリカの法システムを理解する上で必要な場合に言及する。)アメリカ社会の中で法システムがどのような機能を果たしているのか、ということについて多角的に考察する予定である。授業では、アメリカの法システムがどのような構造になっているのか、ということについてだけでなく、そのシステムを実際に動かしている人々(主には弁護士・裁判官であるが、場合によっては市民)にも焦点をあてる。

 

以下のような順で授業を進める予定である。法制度の発展にかかわるイギリス・アメリカの歴史を鳥瞰した後、アメリカの法システムを司法・立法という観点から眺める。それらの知識を前提として、個別の法分野(憲法、民事訴訟法、契約法、不法行為法)の問題のいくつかをトピック的に取り上げて考察する。


288 欧州法A

 

欧州法と言えば、範囲が非常に広範で、この科目では、さしあたりドイツ憲法と民法を中心として講義を行う。けだし、ドイツ法は第二次大戦が終わるまで、日本法に圧倒的な影響を及ぼしてきた。戦後アメリカ法の影響もあったが、日本法の骨組みと論理はドイツ法に依存するところが大きい。その点ドイツ法を知ることは日本の法律を理解する上でも必要である。憲法と民法は凡ての法律の基礎ともいえる故、この限られた時間数において、範囲をしぼって、ドイツ憲法と民法を中心課題として検討して行きたい。授業の目標としては、何故外国法を学ぶのか?ドイツ法概観(第1回)、ドイツ憲法の沿革とドイツ連邦共和国憲法(ボン基本法)の制定(第2回)、ドイツ憲法の内容(1)国家構造の基本原理(第3回)、(2)国家機関(議会、参議院、連邦会議、大統領、首相、裁判所等)(第4、5回)、(3)司法制度(第6回)、ドイツ民法の沿革ローマ法の継受(第7回)、民法典の制定および法源(第8回)、民法内容(1)権利主体と客体(人と物)(第9回)、(2)債権行為と物権行為(第10回)、(3)物権制度と抵当制度(第11回)、(4)家族法について(第12回)、(5)其の他(第13回)。